「Vol.146 就職≠属会」の中で、
「就職というのは、『職に就く』ことであって、
『会社に属する』こととイコールではない」
と述べた。
それと似たようなことが、しかもより分かりやすく、
私が愛読している安田佳生の7月15日発行の
メルマガにあったので、そのまま掲載する。
以下が、その文章である。
いつの頃からか、
「働く=雇われる」という図式が
出来上がってしまった。
社会に出たら働くことは常識であるが、
就職することは常識ではない。
数ある働き方の中のひとつの選択肢に
過ぎない就職が、たったひとつの答えで
あるかのように信じ込まされている。
しかもかなり偏った形で。
リクナビ、マイナビという新卒求人サイトに
掲載されている社数は、両媒体を合わせても
2〜3万社に過ぎない。日本には300万社を
越える会社があるが、掲載されているのは
その百分の一にも満たないのだ。にもかかわらず、
多くの学生はその中のどこかに就職することが
唯一の選択肢であると信じている。
ではそれ以外の99%の会社に入社することは
不可能なのか。
いや、もちろん、そんなはずはない。
それはリクナビ・マイナビに掲載していない
会社であって、採用を拒絶している会社では
ないからだ。優秀な学生が入社したいと
門を叩けば採用してくれる会社は
いくらでもあるだろう。
ナビに掲載されていない会社に就職することが
可能であるように、就職せずに働くことも
また可能である。社会には実に様々な職業があり、
選択肢は無限と言って良いほどある。
自分で会社を立ち上げるもよし、
小説家になるのもよし、占い師になるのもよし、
なのである。
ちなみに落語家という社会には応募という活動が
存在しないらしい。だから当然、どこにも
求人広告は出ていない。その上、世襲で落語家に
なる人もほとんどいない。ではどうしているのか。
なりたい人が勝手に師匠のところに尋ねて
来るのである。「弟子にしてください」
「ああ、いいよ」これだけ。
面接も筆記試験もなく、師匠が気に入れば
それでOKなのである。
「そんな人はごく少数だ」「そんな考え方は
非常識だ」と罵られそうであるが、
よくよく考えてもらいたい。1%にも満たない
掲載企業の中から就職先を選び出し、
無理矢理志望動機をひねり出すことと、
世の中を広く見渡して自分がやりたいことを
見つけていく活動。一体どちらが非常識なのか。
確かに雇われるのは楽である。
言われた時間に、言われた場所に行き、
言われた通りの活動をする。
これだけで次の月から確実に給料が
振り込まれるのだ。だが短期的には楽であるが、
長期的に考えればこれほど不自由な生き方はない。
もちろん、そういう生き方を選ぶことも
本人の自由である。だが卒業した学生の大半が
そのような生き方を選ぶというのは、
ちょっと異常ではないだろうか。
「正社員になれ」「正規雇用を増やせ」
「正社員以外は負け組」という非常に
偏った常識が、この国の若者を苦しめているのだ。
自分の得意なことで人の役に立ち、お礼として
金銭を受け取る。仕事とは突き詰めれば
それだけのことだ。どこで働いてもいいし、
何をやってもいい。
働く方法など無限に存在するのである。
もっと多くの若者が、雇われない生き方を真剣に
模索する社会。その方がずっとまともであると
思えてならない。
もしかしたら、私がおかしいのでしょうか。
みんな正社員になりたいに決まっている。
雇われない生き方など望んでいない。
それが正常で、私が異常なのでしょうか。
確かに私はちょっと変わっています。
受験から逃げてアメリカに行ったり、
会社員を辞めて起業したり、
境目研究家になってみたり。
でも異常だとは思っていません。
むしろ自分以外の人間が異常なのだと、
私はずっとそう思って生きてきました。
勉強が好きでもないのに、
とにかく受験勉強に精を出す。
出来るだけ偏差値の高い学校に進学する。
卒業が近づいたら就職活動をし、
少しでも有名な会社に潜り込む。
無難に仕事をこなし、
定年までの安定を手に入れる。
これを正常な人生というのなら、
確かに私は異常なのかもしれません。
でもそれは多数決で決めることでは
ないはずです。全体の90%が賛成しても、
間違った判断をすることはある。
それは歴史が証明しています。
何が正しくて、何が正しくないのか。
そこに答えなど無いのかもしれません。
だから私は自分が絶対に正しいとは
思っていません。ただ間違いなく、
自分の頭で考えて、自分の好き嫌いも考慮して、
自分の生き方を決めている。
私には、それが一番重要なのです。
なぜ皆そんなに雇われたがるのでしょうか。
なぜそんなにも、正社員に固執するのでしょうか。
安心だから。安定しているから。
でもそんなこと、誰が保証してくれるのでしょう。
10年後20年後のことなど、
誰にも分かるはずがないのです。
大きな会社に入る。正社員になる。
それは確かに短期的には安定した
人生になるでしょう。でも人生は長い。
思っているよりもずっと。
会社に人生を委ねるとは、
他人に人生を委ねるという事です。
これほど不安定な生き方があるでしょうか。
自分が本当にやりたいことを探す。
努力して手に職をつける。
誰かの役に立つ仕事をする。
それが安定の基板ではないでしょうか。
それは非現実的。戯言。現実逃避である。
そういう声が聞こえてきそうです。
でも私に言わせれば、安易な就職のほうが
よほど現実逃避だと思えてなりません。
とにかく大きな会社に入っておけば安心。
とにかく正社員になっておけば安心。
なぜ頭のいい人たちが、
そんな非論理的な答えに辿り着いてしまうのか。
それが本当に不思議でならないのです。(完)
より大きなことをしたい、
より高いレベルのことがしたい。
もちろん、大きさも、高さも大事である。
でも、その前に広さについて考えてみるべきでは
ないだろうか。自分自身の視野が狭かったから
余計にそう思う。
夏期講習で忙しいからといって、このような形式に
なったのではないことだけは断っておく。
次回はどこからお借りしようかしら。あっ!?